甲府へ来た勘助と龍治一行。その僧侶の大行列には誰もが驚いた。
城下町の野次馬たちも、
「こりゃきっと、かなり徳の高い坊様ぞ!」
と両手を合わせる。
躑躅ヶ崎での応対は、晴信の代行として三条夫人、それに桜湖の二人である。
ここでも二人は、勘助と同じ驚きを示したが、これだけの弟子や坊主の動向とあれば、嘘ではないと歓迎した。
これで勘助は、龍治を大泉寺に連れてから、今日の大役から解放された。
「これで飯にありつける!」
それに今日は秋津がいる。先に勘助の屋敷に戻って、楓と料理をしてるが、なにせ料理は大の苦手な秋津である。
「ああ、お米が…。」
秋津は見事に焦がした。
「私がやりますから、姫様は…。」
楓は恐縮するが、秋津もさすがに疲れたようだ。
「ご飯も炊けない様じゃ、あたいも駄目だな…。」
一緒に連れてきた三毛猫を抱いて、苦笑いする秋津であった。
そこに勘助が戻った。
「おかえりなさい!」
秋津が迎えたが、勘助は秋津の頭をコンと軽く叩いた。
「焦がしただろう、臭うぞ!」
ばれた、と秋津は舌を出した。そして三毛猫も勘助を迎えた。
「おっ?」
秋津は説明した。
「あたしの玄徳よ。」
「また、偉そうな名前じゃな。」
「偉いよ、だって三毛は船の神様だもん。」
「そっか。そうだな。」
大昔から船乗り達は猫を重宝していた。特に大型船ではなお更だ。なにせ船内に潜む鼠を捕ってくれるから、当時から猫は航海安全の神としての俗信が厚いのだ。
猫が騒げば時化となり、眠れば天候も穏やかとなると言われ、特に遭難した際には、三毛は北のほうを向くと信じられており、磁石としての役目を果たすと言われたからだ。
更に、この玄徳のようなオスの三毛は重宝度は高い。何故なら三毛猫の99.9パーセントは、なんとメスなのだ。
実に三万分の一の確立でしかオスは発生しない。だから船の神と崇められている三毛でも、オスはその重宝度は非情に高いのだ。
これは染色体の問題なのだが、[XX]がメスで[XY]がオスになるのが原則だ。
しかし三毛になるには[XX]の染色体が必要になるため、オスは通常存在しないのである。しかし、ごく稀に[XXY]の染色体を持ったオス猫も現れる。そのオスが秋津の船の守り神である玄徳なのだ。
| ●●● お知らせ |
|
物語を読む上で、結構重要なベースになりますので、是非ご一見ください! |
2008年05月12日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/96433198
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/96433198
この記事へのトラックバック

久良岐 満

