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s-k-dream_plot010.JPG当物語のバトルフィールド「信濃国」です。
物語を読む上で、結構重要なベースになりますので、是非ご一見ください!

2008年05月07日

品第568:交渉再開(第12章5節「信濃守護対諏訪郡代」6)

「板垣殿も外交上手じゃのう。」
「なに、意地汚いだけじゃ。」
「境目を治めるには、最も必要な才じゃろ。」
 諸将の雑談を聞いて、晴信は悩む。
「さて、誰に行かせようかのう?」
 これに勘助が名乗りでる。
「その役目、是非とも某に。」
「駄目じゃ。」
「何故です!」
「婚礼を控えてるからじゃ。勘助は当初の予定通り、明日に甲府に戻れ。」
「しかし…。」
「只でさえ未だ甲斐に戻らぬ先発隊に、小笠原の検視殿が、頭から湯気を噴きたててるのじゃ。これ以上の遅れは火山の爆発じゃ。我等に不利を呼ぶ。」
 晴信の主張で勘助は黙った。晴信は適任者を考えながら、ある男の顔が頭に浮ぶ。
「やはり、あの男しかおらんか…。」
 晴信は決心した。そして二十日未明にその男を府中に送り、夕刻に兎川寺に着いた。
 晴信が選んだ『副将』を出迎えた信方は、その顔を見て目が点になるほど驚いた。
「け、建乗和尚っ!」
「事情は窺ってます。明日はお任せ下さい。」
 信方は、晴信のあまりの意外な人選に、我に返るのが遅れてしまった。
「てっきり、虎定殿か虎昌かと思ってた…。」
 来たものは仕方が無い、信方は明日に備えるしかなかった。

 そして約束の二十一日、小笠原屋敷にて交渉を再開した。
 建乗の参加には、長時や直臣達も驚いた。藤沢権次郎が思わず開口する。
「何故、僧籍の者が副将なのじゃ!」
 これに長時の直臣達も、同じように騒いだが、建乗は揺るがない。
「拙僧は、この一軒での戦略を担っていましたので、副将として参加致しました。軍師と言っても良いですが。
「そなたは今川家の者じゃろう!」
「拙僧は、あくまで僧籍(所属無し)です。」
「ならば、何故武田に加担する!」
「今川義元様は、小笠原長時様との関係を所望されているからです。しかし、今川と小笠原には、敵味方以前に接点が何もありませんから、接点を持ちたくて、しばらく武田におりました。」
 この和睦に今川家という第三者が出た。それで調子を狂わすという晴信の狙いだ。信方も理解したが、同時に晴信は信方を過剰に監視してるとも感じ取ってしまった。
 長時は機嫌を損ねる。
「言い分は分かったが、今は今川家の出る幕ではなかろう!」
「いいえ、ここで出なければ、今後がありません。小笠原家の利に直接関わる事です。」
 建乗の発言に、長時は思わず興味を抱かされてしまう。



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