そこで、対関東管領戦においての待ち伏せの地は三箇所に絞り込んだが、対村上義清戦に至っては、どうしても前山城に攻めさせたい。
だから対村上戦の場所は、直ぐに候補は決まったのだ。
彼等の調べた情報は、甲府から先に前山城に来ている譜代家臣の原隼人に集められ、彼が分析して晴信が前山城に来たら、報告する事になっている。
二十五日になり、勘助も幸綱も部隊は部下に任せて、一端原隼人がいる前山城に赴く。
そこで勘助は、義清の問題から挙げる。
「やはり、もし村上が来るなら前山城を包囲させたいです。」
隼人も納得する。
「ああ、確率から見れば、前山よりも長窪じゃからな…。」
幸綱も、
「一番良いのは、来ない事じゃが…。」
と、管領家の強情と小笠原長時の圧力に期待する。隼人は管領家に戻す。
「管領の後詰も、二手に分かれて来たら厄介じゃしのう…。」
両腕を組んで、ため息をつく。幸綱も下あごをかきながら、
「広川原から田口城に来られるのが、一番嫌じゃな…。」
と懸念した。
とりあえず内山城の小山田備中と、海ノ口城の小畠山城はそれぞれの城で待機させ、田口城を挟む形は取る。
隼人は、管領軍に参加するであろう武将達の名前を思い浮かべながら、
「誰か、内応してくれる者はおらんか?」
と呟く。幸綱と勘助は、管領家時代に最も仲の良かった長野業政と小幡憲重を頭に浮かべるが、彼等は勇将であり、忠臣だから、可能性は乏しいと判断した。
ならば、武田の内応に応じる者等いないに等しい。
だから、もしこのケースで管領軍が攻めてくれば、さっさと志賀城を攻め落として、後詰軍の意義をなくすしかないのだ。
という事で、志賀城の笠原清繁と高田憲頼の下に、平井城から果報が齎された。
憲頼が思わず、よしっと拳を握った。
「笠原殿っ、我が軍の総大将が、倉賀野党の金井秀景に決まったぞ!」
「左様ですか!ならば田口城と連携が取れますな!」
「ああ、田口長能殿は村上派でも、我等に協力的じゃからな。早速連絡をしよう!」
と早馬を出して、広川原の通路確保を以来させるため、早馬を出した。
長能からは、了解の応答を貰った。
「これで武田猿を南北から挟み撃ちじゃ!」
憲頼は意気込む。
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